「消防士を辞めたら、自分には何が残るんだろう……」
「結局、営業や現場仕事くらいしか選択肢がないんじゃないか?」
この記事を読んでいる消防士のあなたは、そんな漠然とした不安を抱えていないでしょうか。『11年で退職者が3.4倍に急増した真実』の記事でお伝えした通り、退職して新しいセカンドキャリアを描く若手・中堅の消防士が増え続けているのが紛れもない事実です。しかし、その一方で、消防士の「次」の選択肢も、これまでの常識では考えられないほど豊かに、そして自由に広がっています。そんな、自由な働き方を手に入れるために大切なのは、「環境の軸」「働き方の軸」「職種の軸」といった「3つの軸」を定めることです。また、実はその3つの軸に合わせて「自分軸」を固めることが最も重要な要素となります。今回は、そんな働き方をデザインしたい消防士のためのセカンドキャリアの選択肢について解説していきます。
キャリアの選択肢は「3つの軸」の掛け算で決まる

消防士からのセカンドキャリアを考える際、多くの人が「今の自分にできそうな職種」だけを見てしまいます。しかし、キャリア選択をする際には、大きく分けて以下の3つの軸を掛け合わせることで、働き方を広げることが可能になります。
- 環境の軸(働く場所、働く環境)
- 働き方の軸(組織、個人)
- 職種の軸(定番、挑戦)
この掛け算を知るだけで、あなたの選択肢は今の10倍以上に膨れ上がります。逆に、今できる範囲内でのキャリア選択を考えていた場合、本来は挑戦できたかもしれないことにも挑戦しないことにもつながる可能性があります。だからこそ、まずはこの3つの内容について、どのように働きたいのかを明確にしてみるのが良いでしょう。
「どんな人のために、どんな課題を解決して、それをどんな企業やどんな人と一緒に、どんな社会を作っていくのか?」
このように、仕事をする目的を意識してみると、かなり解像度が高くなりやすいかと思います。
キャリア選択において、「軸」は最も重要だと考えているよ!
【環境の軸】「どこで働くか」で人生の幸福度は激変する

消防士からのキャリア選択を考える上で、民間企業への転職、さらにはフリーランス、起業などを考える際には、「今の自治体」「地元の周辺」「日本の首都東京」という狭い範囲でキャリアを考えがちです。しかし、一度組織を離れれば、日本全国、さらには世界中があなたの次の活躍の舞台になります。だからこそ、環境選択をどうするのかということは非常に重要です。また、 環境と一口に言っても、実は「地理的環境(外側)」と「内部的環境(内側)」の2つの側面があります。この両面をセットで考えることで、初めて「後悔しないセカンドキャリア」を歩むことが可能になります。
職場の「地理的環境」|「場所」の縛りを解き放つ

消防士からの転職やキャリア選択において、まず考えておきたいことは職場の「地理的環境」を考えることです。消防士として働いている場合、大きくわけて「東京都」「地方」「海外」と3つの地理的環境選択をすることが可能になります。それぞれの特徴や、メリット・デメリットなどについて理解して、あなたが働きたい環境を選択していきましょう。
東京都

日本の中枢である東京は、日本で最も企業が集まるビジネス都市です。特に、大手町・丸の内のような消防士からの転職も可能である東証プライム市場の大手企業も集まっていることもあり、転職をするにはとても環境が良い可能性があります。また、渋谷・六本木・虎ノ門・麻布台などのエリアでは、スタートアップ企業が多く点在しているため、これから新しい挑戦をしたいと思っている方にとっては最適な環境となります。このようなことから、地理的環境を活用すれば、新しい人との出会いや、仕事を通して成長が最もしやすい環境であることも事実です。
- 東京都は、日本の中で最も多くの企業が集まるビジネス都市である
- 大手町・丸の内などのエリアでは、東証プライムなどの大手企業が集まっている
- 渋谷・六本木・虎ノ門・麻布台のエリアでは、スタートアップ系の企業も多く点在
その反面で、東京都には大きなデメリットがあることも事実です。例えば、転職という働き方を選択する場合、東京都の中心街に居住地を置く場合には、賃貸が非常に高い傾向にあるため、30分程度の通勤時間をつくって東京郊外に賃貸契約をする場合や、間取りの狭い賃貸の契約をする場合があります。また、通勤時間ができるということは、電車の路線次第で非常に乗車率の高い満員電車に乗る可能性も出てきます。このようなことから、日々の暮らしに忙しさを感じることもあるでしょう。
また、地方とくらべると食費や住民税など、あらゆるものごとのコストが高くなりやすいという金銭的なデメリットがあります。参考のデータを見ると、単身世帯の月間生活費は東京が約14.4万円に対し地方は約8.5万円と、約6万円の差があります。特に住宅費の差が大きく、東京の単身世帯の家賃が約8.5万円であるのに対し、地方は約4万円と東京のほぼ半額です。地方よりも給料が良いという違いもありますが、全体的にお金が動きやすい場所でもありますので、これを加味して地域選択をすると良いでしょう。
- 東京都では賃貸・食費・住民税などのコストが高い傾向にある
- 通勤を要す場合には、満員電車に乗る必要性が出てくる
- 慢性的な忙しさを感じることがある
僕は、出身も育ちも東京都だからかなり慣れているけど、地方から出てくる場合には少しこのギャップを感じることもあるかも!
地方

「地方」を地理的環境として選択する際には、さらに2つの選択肢があります。それは「地方都市」か「田舎」を選択するかという方法があります。例えば、神奈川県横浜市・福岡県福岡市・大阪府大阪市・愛知県名古屋市などの地方のビジネス都市を選択するか、農業・畜産業・水産業などが盛んな田舎を選ぶかの、大きくわけて2択があります。
- 地方のビジネス都市
- 田舎のビジネス地区
地方のビジネス都市を選択する場合には、その都市によって少しづつ特徴が違いますので、その土地とビジネス環境の理解を含めて、地理的環境の選択をしていくと良いでしょう。例えば、神奈川県横浜市では、「自動車、IT、ライフサイエンス系」、福岡県福岡市では「ITスタートアップ、サービス業」、大阪府大阪市では「流通、エンタメ、クリエイティブ系」、京都府京都市では「精密機器、電子部品、AI・バイオ、飲食系」などの特徴があります。
また、地方を選択する場合には、東京都と比べて賃貸料が比較的安価に住むこと、食品や住民税などが抑えられること、といったコスト面でのメリットは比較的大きくなりやすい可能性があります。また、職種や働き方次第では、東京都同様に大きく成長できる環境を作ることも可能です。さらに東京都と比べると、都市部であっても忙しさを感じるレベルは低くなる可能性が高いです。
- 賃貸・食費・住民税などのコストを抑えることができる傾向にある
- 忙しさの感じ方を緩和することができる可能性がある
- 移住をする際には、補助金などの制度も活用することが可能
しかし、地方でのキャリアを考える場合には、東京都とはまた違ったデメリットが発生します。例えば、田舎の地域環境を選択する場合、東京都のような公共交通機関の整備はされていないこともあるので、足となる車やバイクなどが必須になります。当然、車やバイクが必要ということは、それに伴うガソリンの消費なども含めると、意外にもコストが嵩んでしまう場合があります。さらに、東京都と比べると、収入が減ってしまうという可能性も高く、求人も比較的限られてしまうことがあります。
- 車やバイク、それに伴うガソリンなどで移動コストが嵩む可能性が高い
- 東京都と比べると、給料レンジが低い傾向にあり、求人も限られる可能性が高い
- 人間関係が密であるため、ご近所関係なども重要になる可能性がある
総務省の家計調査によると、自動車等関係費は東京都区部で月約1.5万円であるのに対し、全国平均では月約2.7万円と、地方の方が約1.8倍高くなっています。 (出典:総務省「令和4年家計調査」)地方の生活費が安いというイメージは、車の維持費を含めると大幅に変わる可能性があることは、念頭に置いておく必要があります。これらのようなデメリットを許容した上で、地方を選択するというのは、戦略的になしではないと思います。
メリットとデメリットはトレードオフだからこそ、戦略的にキャリアを作ることを考えることって大事だね!
海外

消防士からのキャリア選択で、多くの方が避けがちになってしまう地理的環境が、「海外」という選択肢です。特に、海外旅行などの経験が少ない場合には、そもそも海外がどんな雰囲気であって、どんな環境が広がっているか知らないため、全くの未知への選択になります。このような観点から、海外という選択を諦めてしまう、そもそも選択肢にすら入らないとなってしまうことがあるのです。
- 日本語以外の語学が苦手だから仕事を含めて生活全般が不安
- 賃貸契約やVISAなどの更新をするのに不安
- 子供の学習環境をどう作れば良いか分からず不安
- 病院や医療制度などが分からなくて不安
- 地域的な治安の良さが不安
このような、不安要素がデメリットに感じることがありますが、実はこの不安要素は「知らないから不安である」という側面が大きいのがリアルです。知らないことを理解することで、実は「海外」という地理的環境を選択することが大きなメリットになる可能性もあります。特に、動き出した手軽な独身の方ほど、海外という選択肢も含めて考えることはとても良いことです。
例えば、海外での営業経験を積むことで、世界中どこに行っても仕事を失う可能性が低くなります。また、日本と比べて生活費やランニングコストが低くなる場合があります。さらに、ご家族で海外移住を考える場合には、子供たちの教育においても自然に多言語を習得できて、さまざまな価値観や文化を理解することにつながるので、学習の幅が広がります。このような観点から、海外で生活することで、さまざまなメリットだけでなく、日本でのキャリアアップにも繋げることが可能になる場合があります。特に、「当たり前の基準」が驚くほど高く評価されますので、主体的に仕事を行えば、日本国内にいるよりも大きな成長につながる可能性は高くなります。
- 海外での業務経験次第では、世界中どこに行っても仕事を作ることが可能
- 仕事を通して、語学力の向上まで可能
- 日本に帰国する際にも、グローバル人材としての活躍が可能
- 子供がいる場合には、日常的に語学・価値観・文化の学習が可能
海外を拠点にしている僕の意見としては、海外でのキャリアを作る場合、「事前準備」と「事前調査」が大事と思うよ!
職場の「内部的環境」|「空気」と「人間関係」を書き換える

「地理的環境」と同じくらい、あるいはそれ以上に仕事の充実度を左右するのが、職場の「空気感」と「人間関係」です。実際に、消防士がセカンドキャリアを考える際、実は「場所を変えたい」以上に「今の組織や人間関係から離れたい」という本音が隠れていることもよくありますよね。だからこそ、働く組織の「内部環境」が非常に重要な要素となります。また、内部環境は大きく分けて、「人間関係」と「組織の文化」の2つの軸に大別することが可能です。
人間関係

消防士からの転職やキャリアチェンジの理由の1つに、「人間関係」が含まれていることはよくあることです。その理由は、パワーハラスメント、目の前の上司と同じ未来を歩みたくない、体育会系部活以上の上下関係など、多岐にわたります。だからこそ、転職やキャリアチェンジをする際には、人間関係に基づいた組織内部の環境などに目を向けることは非常に重要な軸の要素となります。
- 価値観の合う仲間がいるのか?
- コミュニケーションが取りやすい人たちなのか?
- 心理的安全性の高い人間関係になっているか?
民間企業においても、その企業ごとに人間関係が変化しますので、あなたが求める人間関係の形が作れるか確認をしましょう。そのためには、あなた自身がどのような人と一緒に働きたいのかということを明確にしておく必要があります。
「どんな人と働くのか?」によって、仕事の楽しさって変わったりするもんね!
組織の文化

そして、消防士からの転職やキャリア選択に踏み切る場合、人間関係だけではなく、「組織制度」に対する不満を持っている場合も多くあります。例えば、「曖昧な評価制度」「意見具申をしても通らない意見」「休暇が取りづらい」など、その原因は人それぞれさまざまです。だからこそ、職場の内部環境として、「組織の制度」を適切に理解し、環境選択を行うことが重要となるのです。
- 評価制度は適切に運用されているか?
- 部下の意見を積極的に取り入れる組織文化になっているか?
- 「フラットな組織文化」で、価値ある挑戦をする ことを求めている環境か?
組織の文化と人間関係は、非常に密接な関係性にもありますので、もしも転職をする場合にはカジュアル面談や、その企業の知り合いを作って、あらかじめ情報収集ができているとキャリアチェンジ後のミスマッチは減らすことができます。結果的に、ストレス要因を減らすことになりますので、実はかなり重要な内容となります。「どんな空気の環境で働き、誰とともに育んでいきたいのか」。この点を明確にして、環境選択をしてみてください。
組織の「文化」「制度」は、人間関係にまで影響するから、ぜひこの2軸を的確に把握してみてね!
【働き方の軸】リスクを管理し、働き方を手にいれる

どこで、誰と働くかの他にも、「どう働くか」という働き方のスタイルを軸として持つのも、キャリア選択の1つです。消防士からのセカンドキャリアを考える時に、ほとんどの人が「転職」という選択肢を取りがちですが、実は収入を得る方法は他にもあるのです。「あなたが実現したい未来像」や「あなたがどんな働き方を望むのか」という視点から、働き方の選択をしていくことが重要です。
「消防士」として働き続ける

ここまで、「どこで、誰と働くのか?」を中心に話をしてきたので、消防士からのキャリア選択においては、転職などが主流となっているかのようにも感じますが、それは誤解です。なぜなら、消防士として続投でキャリアを積み上げることも1つのキャリアの選択肢だからです。特に、消防士という仕事の中でも花形部所となる「警防課」だけではなく、予防課、総務課など様々な部所がありますので、異動願いを出すことによって、職種を変更することができる可能性は高くなります。
「災害対応部所」
- ポンプ隊
- ハシゴ隊
- 指揮隊
- 救助隊
- 救急隊
「予防担当部所」
- 予防係
- 査察係
- 危険物係
- 火災調査係
- 防火管理係
「その他担当部所」
- 管理係
- 経理係
- 教養担当係
- 人事担当係
- 消防団担当係
※上記の担当係は、一部の例を挙げたものとなります。
実際に、僕の場合は東京消防庁では、上記の消防署での担当係に加えて「本部庁舎」「幡ヶ谷庁舎」「スクワール麹町」などに設置されている特殊な部署や担当業務への異動願を出すこともできましたので、かなり幅広い職種の中から消防士を続投したセカンドキャリア選択をすることが可能となります。
- 総務部(総務課、経理契約課、施設課、情報通信課)
- 企画調整部(企画課、財務課、広報課)
- 安全推進部(安全推進課、安全技術課)
- 予防部(予防課、危険物課、查察課、調査課、防火管理課)
- 救急部(救急管理課、救急医務課、救急指導課)
- 警防部(警防課、救助課、特殊災害課、総合指令室、多摩指令室)
- 人事部(人事課服務監察課、職員課、厚生課)
- 装備部(装備課、装備工場、航空隊)
- 消防学校(校務課、教養課)
ただし、消防士である以上、事故防止の観点から副業の規制が強くかかりやすく、なかなか承認してもらうことができないといったリスクも考慮して選択すると良いでしょう。
実は、僕も自己推薦で東京消防庁の本部庁舎に研修に参加したことがあるよ!
転職

次に、消防士からのキャリア選択で最も選択する人が多い「転職」という選択肢です。転職といっても一概に民間企業への転職だけではありません。ここでは、大きく分けて2つの転職の選択肢があります。
公務員→公務員

消防士として働いてきた方の場合、消防士として働らかなければならないと感じる方もいると思いますが、消防士から他の職種に転職をするという選択肢があることも事実です。
- 「別の自治体の消防士」として新しいスタートをする
- 「公務員でも別の職種」に転職をしてキャリアを再スタートする
実際に、僕の周りでは、地方の消防本部から東京消防庁に転職をして消防士を続投している方、東京消防庁を退職して東京都特別区の一般事務職員として働く方がいます。このように「公務員→公務員」というキャリア選択をすることも可能です。
ただし、気をつけたいことは、「過去の経験が活かせるから」「公務員という肩書きと福利厚生を手放したくないから」といった理由で決めるのではなく、働く目的に沿って働き方を変更していくことが重要です。
過去に培ってきたソフトスキルは、どんな職場でも代替ができるんだよね!
公務員→民間企業

次に、公務員から民間企業への転職です。これが消防士からの転生では、最も一般的な選択肢の1つになります。
- 営業職
- トレーナー職
- 民間消防職
- コンサルタント職
- 消防設備士
これらのような職種でないと、転職が難しいのではないかと感じてしまうかもしれないですが、これはあくまでも傾向であり、別の職種であっても転職をすることは可能です。実際に、僕が消防士の方々に情報提供をさせていただいている、元消防士の中には某大手の転職エージェントへの転職を実現され、キャリアアドバイザーとして活躍されている方もいらっしゃいます。
専門性が高すぎる職種以外の場合、過去の経験を丁寧に振り返り、「どのような動機があるのか?」「そこでどんな活躍をできるのか?」「転職をして実現したいことは何か?」ということが適切に回答できれば、内定をもらうチャンスは十分にありますので、転職を検討している方はぜひトライしてみてください。
転職は1回で成功させるだけのものではなく、さらにキャリアアップを考えて2〜3回と転職をする方も多いんだよ!
フリーランス

次に、消防士の方も一度は憧れたことがあるかもしれない、「フリーランス」という働き方についてです。フリーランスとは、企業や組織に属すことな、場所や時間に縛られず、自分のスキルを直接「価値」に変えて報酬を得る働き方です。フリーランスという働き方には、大きく分けて2つの環境があります。
- オンラインの仕事
- オフラインの仕事
おそらく、多くの消防士はインスタグラムやYouTubeなどを通して、フリーランスに関する情報を得ることが多いと思いますので、ノマドワーカーのような働き方を想像する方も多いと思います。しかし、実際には実店舗での個人商店での働き方もできますので、オンラインだけではないということを理解しておくと良いでしょう。
「オンライン型フリーランス」
- ITエンジニア
- ライター
- マーケター
- デザイナー
- コンサルタント
- オンライン講師(トレーナー含む)
- 動画編集者
- インフルエンサー
「オフライン型フリーランス」
- 美容師
- ネイリスト
- カメラマン
- パーソナルトレーナー
- 家庭教師
- 俳優
- アナウンサー
- ツアーガイド
また、多くの方はオンライン型のフリーランスという働き方には、「仕事時間を自由に選べる」「仕事の場所も自由に選べる」「キラキラしていてかっこいい」と言ったイメージを持っていると思います。確かにこのような働きができることは事実ですが、意外にもフリーランスの働き方はギャップを感じることもあるので的確に理解をしておくことが重要です。
- 思った以上に「仕事時間が長くなる」
- 収入が入らないと「焦る気持ちが強くなる」
- 売り上げ計算などの「経理業務も仕事になる」
なぜならば、転職や公務員として働くのとは違って、誰かが定期的に給料を支払ってくれるわけではないからです。仕事がなければ、収入は0円になりますので、非常に不安定な働き方でもあると言うことができます。適切に、メリットとデメリットを把握した上で、この働き方を選択することが重要です。
実際に、僕もフリーランスとして契約している案件もあるから、どのように仕事を取るかが鍵になる!
起業

次に、挑戦的な消防士の方ほど選択をする「起業」という働き方についてです。起業とは、自分自身が事業の責任者となり、新しいビジネスやサービスを起こして市場に価値を提供することを指します。そして、起業という働き方にも、大きく分けて3つの種類があります。
- 新しく事業を作っていく方法(創業経営)
- 既存の事業を受け継ぐ方法(事業継承・後継者起業)
- 既存の仕組みを借りて起業する方法(フランチャイズ)
起業とフリーランスの働き方の違いとしては、自らが企業や組織のトップとして、「仕組み作り」をするのか、自らが「作業者」となるのかが大きな違いとなります。そのため起業をする場合には、主にチームを作って事業を作っていくことになりますが、フリーランスの場合には企業のチームに外部委託事業者として参加したり、自ら小規模チームを作ったり、チームには属せず個人で全てのことを行うといった働き方があります。
「起業する時の働き方」
- 業務委託を使ったチームを運営
- 社員を雇用してチームを運営
- 外注してチームを運営
「フリーランスの働き方」
- 完全個人での働き方
- 少人数制でのチームを運営
- 少人数制でのチームにジョイン
- 企業の業務委託としてジョイン
これらのように、起業といっても働き方が少しづつ変化することになります。また、フリーランスを経て、起業をするといったキャリアの積み上げ方もありますので、起業を考えるからといっていきなり起業をする必要はありません。また、フリーランスだけでなく、会社員として働きながら副業を通して起業をするという選択肢もあります。大きな責任と、社会的意義を問われやすい働き方でもありますので、様々な可能性と目的を考えた上で、起業という選択肢を取ることはとても良い選択だと思います。あなたの最も描きたいビジョンに合わせて、検討してみてください。
- 初めから「大きなお金をかけず」にスタートする
- 無駄な支出を抑えるためにも「お金管理」が超重要
- 仕組み化しないと、「フリーランスと何も変わらない状態」になる
実は、僕もフリーランスとしてのコーチ業、ライター業、講師業、セミナー業、マーケティング、動画編集、営業などを積み上げた上で2026年に法人設立予定!
各種+副業

ここまで、消防士からのキャリア選択において、「公務員の続投」「転職」「フリーランス」「起業」といった選択肢を上げてきましたが、仕事を1つに絞るのではなく、2つの軸を作って進めていく方法があります。それが、副業です。
- 公務員+副業
- 民間転職+副業
- フリーランス+副業
- 起業+副業
消防士の場合、地方公務員法によって副業が禁止されていることもあって、中には副業に怪しさを感じてしまう方もいると思いますが、実は副業といっても様々な種類の仕事内容があります。例えば、フリーランス同様にオンラインでの副業をするなら、パソコンでの業務などがあります。また、オフラインの副業であれば、飲食店でのアルバイトを行うことも、副業の一部になるのです。副業という1つの言葉に集約されているため、わかりにくい点もありますが、様々な方法で仕事を得ることができます。
- 公演活動
- 執筆活動
- スポーツ指導
- 家業の手伝い
- 不動産投資
- 株式投資
- ボランティア(草刈り、雪かき、お祭り支援)
※副業のガイドラインには、実際に副業を可能とした例も出ていますので、参考にしてみてください。
※公務員の副業について、任命権者の許可が必要になりますので、上司等に確認してから行ってください。
2026年より、国家公務員の副業規制が緩和されることにともなって、今後は消防士などの地方公務員も副業に参入しやすい環境整備がされる可能性も高まりつつあります。消防士、または公務員として副業に取り組む際には、整備が整うまでは地方公務員法に抵触しないように進めていくことをおすすめします。
「営利目的の収益性を伴わない仕事」であれば、作成物などは無料販売をして、商品やサービスのの需要共有を確認することも可能!
【職種の軸】「消防士だから◯◯」という偏見をぶち壊す

「働く環境」「働き方」を整理しましたので、最後は具体的な「職種の軸」です。「消防しかやって来なかったし、他の仕事はできない…」という思い込みは、職種選択の幅を狭くします。本来であれば、消防士という仕事の経験を活かして、様々な仕事に就くことが可能です。
「即戦力」|消防士の経験を活かしやすい職種へ

消防士としての業務経験を通して培ってきた学びは、消火活動、救急活動、救助活動だけではありませんよね。予防業務、総務、地域防災など多岐にわたる学びがあったはず。だからこそ、完全なる「未経験」ではなく、経験してきた視点を活かした「準即戦力」として次の職種を決める方は多く存在します。
- ポンプ車、ハシゴ車、救急車、特殊災害車等の「運転技術」
- 消火活動、救助活動、救急活動などで培っ「災害現場での知識」
- 予防業務、防災安全業務などで培ってきた「災害における予防の知識」
- 仕事全般を通して培ってきた「民間企業と行政との間のコミュニケーション」
これらのように、あなたが消防署で「当たり前」だと思って磨いてきた技術や知識は、民間企業にとっては教育コストを低く抑えることができる「準即戦力」と言い換えることができると思います。特に、手堅く、かつ着実に市場価値を認められたい方の多くは、この軸で仕事を選びます。
- 軽貨物配送ドライバー
- トラックドライバー
- 病院等の救急救命士
- 防災コンサルタント
- 消防設備点検員
- 介護職員
- パーソナルトレーナー
- 営業職
ただし、注意したいことがあります。それは、「消防士の経験しかないから、この経験を活かしたい。」と思って、経験が活かせる職種に転職すること。これは、確かに経験を活かすという意味ではその就職は良いかもしれないですが、年齢や経験とともに変わる価値観とのミスマッチが起こる可能性があり、早期退職につながってしまうこともあるので注意してください。
「経験が活かせるか?」よりも、「その仕事を通して、何を実現するのか?」と言う方が長続きしやすいよ!
「可能性」|戦略的に「未経験」から、理想のライフスタイルを掴む

消防士からの職種選択の際に、「自分にはスキルがないから…」「ITやクリエイティブは無理だ」という思い込みで、職種選択の幅を自ら狭くしてしまうのは勿体無いキャリア選択かもしれません。なぜなら、転職をする場合には、「企業の採用担当者」または「経営者」等の判断で、業界・業種未経験からでも雇用契約を行う場合があるからです。
- 企業と求職者の「カルチャーマッチ」が出来そうだから
- ポテンシャルが高く「活躍できそう」だから
- 「研修等が充実」しており、未経験受け入れ体制ができているから
- 大量採用期間中で、一人でも優秀な人を採用したいから
- 「リファラル採用」だからこそ採用されることもあるから
また、起業やフリーランスなどの職種選択をする場合には、採用されると言う観点ではなく、ビジネスとして参入しやすいのかと言うことを考える必要が出てきます。例えば、プログラミングを書くスキルを持ち合わせているなら、ランサーズなどのクラウドソーシングサイトを利用して仕事をすることもできます。しかし、特殊スキルがない場合には、特殊なスキルを必要としない、過去の経験の中で活かせるリソースを活用した職種選択をする場合が必要になることもあります。
「参入障壁が高めの職種」
- 宅地建物取引士
- 税理士
- 公認会計士
- 一級建築士
- 医師
- 薬剤師
- 建築施工管理技士
- 財務コンサルタント
- ファイナンシャルプランナー
- 独立系金融アドバイザー
「参入障壁が低めの職種」
- SNS運用代行
- SNSコンテンツの作成
- WEBライター
- オンライン秘書
- 家事代行
- 動画編集
- 移動販売事業者
- 軽貨物ドライバー
- 民泊運営代行
- せどり、転売、物販
ただし、参入障壁が低いからといって、適当な仕事をしてしまうと、売り上げ以上に大きな損害を生み出す可能性が高くなるので、しっかりと丁寧に仕事としての結果を出すことが重要になります。
SNSの運用代行業は、問題が発生しがちだって聞くよ!
「貢献」|過去の自分を救い、経験を「資産」に変える

現在の、または過去の自分と同じように悩み、葛藤している消防士の力になりたい。そんな思いを抱える消防士の方も少なくありません。そして、私自身もその一人です。だからこそ、あなたのこれまでの苦労や決断が、誰かの救いになります。このように、過去の経験を活かしていることにはなりますが、「強い志や思い」を持って職種選択をすることも可能です。
- 防災教育講師(RIT、CFBT、ロープレスキュー、防災教室)
- カウンセラー(心理カウンセラー、キャリアカウンセラー)
- 救急救命士(民間救急病院、病院、警備会社)
- 学習講師(予備校、大学)
- 消防器具開発者(消防用品の取り扱い企業)
これらは、消防士として勤務してきた中での「悩み」「葛藤」から、社会課題を解決したいと思っている方にとってはとても良いキャリア選択になりやすい傾向にあります。実際に、これらの職種を選択して転職、フリーランス、起業をしている人も少なくありません。強い思いを持っているからこそ、消防士からのセカンドキャリアとしては、最適解を作りやすいことも事実です。
- 人間関係の悩み
- 組織体制に対する葛藤
- 組織の風潮に対する葛藤
- 消防技術に対する葛藤
- 消防器具についての悩み
これらのように、何かしらの「悩み」や「葛藤」から、課題を解決したいと思う人も少なくなりません。だからこそ、今まさに抱えている「悩み」や「葛藤」を理解することが重要なのです。こちらの記事では、消防士から転職や退職を考える人が、なぜ辞めたくなるのかという内なる思いを言語化していますので、合わせてご覧ください。
僕自身も、過去の僕と同じように「悩み」や「葛藤」を持っている人を助けたいと思って、消防士からのキャリア選択をサポートしているよ!
【最重要:第4の軸】全ての選択を正解に変える「自分軸」

消防士からのキャリア選択でこれまでに紹介した「どこで働くか」「どう働くか」「何を職にするか」は、いわばキャリア選択の「手段」に過ぎません。それらをどう組み合わせ、どの方向に進むかを決めるためものが、あなた自身の「自分軸」です。この章では、自分軸がキャリア選択にどう作用するのか、また自分軸はどのように見つけるのかということについてお伝えしていきます。
なぜ「自分軸」がキャリア選択に直結するのか?

消防士の業界では「組織の正解」「上司の発言」「先輩の行動」が全てでしたが、一歩外に出れば正解は無数にあります。そのため、「自分軸」を知ること、作ることというのは、「人生の地図」を知ること、作ることにも近いものとなるのです。そのようなことから、「人生の地図」に沿って納得したキャリア選択をしやすくなる特徴があります。
- キャリア選択のための「基準」となるから
- 「人生の地図」を作り、キャリア選択に活かせるから
逆に、自分の中に「基準」がないと、隣の芝生が青く見え続けるため、どこに向かってこれから先のキャリア選択をすれば良いのかわからない「キャリア迷子」となってしまうのです。そのようなことから、転職だけではなく、フリーランス、起業といった選択肢をした後に待ち受けている困難な壁が立ちはだかった時に、こんな感情になってしまうことがあります。
「消防士を辞めたことは失敗だったんじゃないかな…」
「もう、仕事なんてしたくないな…」
せっかく消防士という仕事をやめる決断をするのですから、こんな状態にはなりたくないですよね。だからこそ、「環境の軸」「働き方の軸」「職種選択の軸」を強固なものにするためには「自分軸」というものが必要になるのです。
後悔を生まないためには、「自分自身がどうしたいのか?」を知ることが大事だよね!
「価値観」|あなたの人生の「判断基準」を知る

あなたの人生で「何を大切にし、何を捨ててもいいと考えているか」。それこそが、「価値観」となります。価値観という言葉を日常的によく使うかもしれないですが、実は多くの人は知っているようで知らないものでもあるのです。なぜなら、実際に自分自身の価値観に目を向けて、どんな価値観が日々の選択を促しているのかということまで明確にしなければ、本当の価値観が見えてこないからです。
- 誠実さ
- 尊重
- 公平性
- 責任感
- 自由
- 健康
- 成長
- 学び
- 愛情
- 貢献
- 信頼
- リーダーシップ
- 社会貢献
- 承認欲求
- 創意工夫
そして、これらのような価値観は、これまでの人生の中における「環境」「経験」「文化」などの中で形成されてきたものであり、今のあなた自身なのです。だからこそ、過去の出来事を振り返ったときに、「どんな価値観が働いて物事の選択をしてきたのか?」ということを知ることが重要になるのです。そして、それらの価値観は、これから先のキャリア選択をする上でも、重要な判断基準となります。
- キャリア選択のための「判断基準」となる
- 「キャリアの地図設計」に活用することができる
価値観は、いろいろな「問い」を通して知るのが効果的だよ!
「感情」|「心のセンサー」を利用する

消防士の現場では、感情を抑えることが求められますが、キャリア設計では「ワクワクするか、モヤモヤするか」という本音の感度が不可欠です。なぜならば人間は、感情を持つ生き物であり、その感情が変化して、行動エネルギーに変わりやすいからです。
- 嬉しい
- 楽しい
- ワクワクする
- 愛しい
- 満足
- 不愉快
- 嫌悪
- がっかり
- ゆううつ
- 苦しい
- イライラ
- 怖い
- 不安
- モヤモヤ
- 焦り
また、これらのような感情は、「価値観」を紐解く上でも非常に重要な要素になります。例えば、過去の経験の中では、大切にしたい価値観が明確になるとありましたが、その時には必ず感情が働いているはずです。「怖いから避けて通りたい。」「嬉しいから大切にしたい。」「不愉快だから解決したい。」などのように感情が働くことで価値観を理解し、意思に変化していきます。そのため、消防士としては押さえていた感情を理解することが重要です。
- 価値観に気がつくことができる
- 本当にやりたいことが見つかり始める
- 価値観を大切にしたキャリア選択の方向性が見えてくる
これらのように、感情を理解することで、「福利厚生や給料」などの条件設定でのキャリア選択ではなく、「本当にやりたいこと」に気がつことができます。そして、感情を利用することで納得して消防士からのセカンドキャリアを選択しやすくなるのです。
「感情を抑えてきたと思う人」「我慢強いなって思う人」ほど、実は苦手科目になりがち!
「願い」|「どうありたいか」という地図のゴール地点を作る

消防士というバックグラウンドや過去の経験などは一度省いて、価値観や感情から「誰のために、どんな自分としてこの命を使いたいか」を探すことは、「自分自身がどうありたいか?」というゴール地点を決めるものに直結します。多くの人は、目の前のキャリア選択を考えてしまいがちですが、キャリア選択すら、人生の中の一部でしかありません。だからこそ、人生のゴール地点となる願いとして「どうありたいのか?」に気がつき、設定することが重要です。
- 「脳科学タイプ」
ガツガツ進んで、世界を変えたい時におすすめ - 「自分らしさタイプ」
じっくり自分と向き合い、幸せを噛み締めたい時におすすめ
また、「どうありたいのか?」というキャリアに収まらない人生のゴール設定ができた場合、仕事はただの作業から「生きがい」に変わります。消防士になったときは「人の命を守ることが使命である」と感じていた感覚と近いものを取り戻すことができますので、キャリア選択における満足感だけではなく、仕事での結果もついて来やすくなるのです。
- 行動の「目的」が明確になる
- キャリア選択を含めた人生選択での「悩み」が減る
- 行動につながるので「結果」も出しやすくなる
ゴール設定にも、さまざまなアプローチがあるので、求めている形で取り組むのがおすすめ!
結論:セカンドキャリアは「見つけて」から「設計するもの」

ここまで読み進めてきたあなたは、もう気づいているはずです。今の不安を解消してくれる「理想の職場」が、外側のどこかにあらかじめ用意されているわけではありません。大切なのは、まず自分の中にある本音を「見つける」こと。そして、その価値観や感情を土台にして、自分自身のキャリアを「設計(デザイン)」していくことです。
「見つける」ことで、キャリアの見え方が変わる

消防士という組織の中にいると、知らず知らずのうちに「外の世界」に対する盲点が生まれます。なぜなら、「忙しい毎日」や「怒られないように」と仕事をしているため、そこに目線が集中してしまうからです。しかし、自分の本当の価値観を深掘りして「本音を見つける」ためのプロセスを通れば、視野を広げることができます。これまで見逃していた選択肢が、あなたの視界に鮮明な可能性として映り始めるはずです。内面的な気づきこそが、新しいキャリアへ踏み出すためのきっかけ作りとなるのです。
- 価値観
- 感情
- リーダーシップ
- あり方
- 願い
「気がつく」って実はとても重要で、気が付かないと一生気がつかない可能性もあるからね!
「ありたい姿」を、現実の「形」へ設計する

本音を見つけることはスタートですが、それだけでは人生は変わりません。見つけた「ありたい姿」という抽象的な願いを、どうやって現実の働き方や環境に落とし込み、実現させていくかと言うことも重要です。だからこそ、見つけた本音を実現させるための「設計」を行うことが重要です。この「設計」のプロセスがあって初めて、「本当にやりたいこと」がキャリアへと変わります。自分の「あり方」を「行動」へと変換し、社会との接点を戦略的に作っていくことこそ、後悔しないキャリア選択の本質です。
- 認知の設計
- 環境の設計
- 感情の設計
- 行動の設計
- キャリアの設計
気付いたら、行動をするための設計をしないと、現実的には何も変わらずにモヤモヤする原因になるからね!
まとめ
今回の記事で紹介した4つの軸は、あなたの設計図を描くための大切な素材です。
- 自分軸(内的軸): 内側に眠っていた「価値観・感情・願い」を見つける
- 環境の軸(外的軸): 働く環境が、「日本なのか」「海外なのか」具体的に見つける
- 働き方の軸(外的軸): どのような働き方をしたいのかと言う軸を見つける
- 職種の軸(外的軸): 見つけた軸を、現実の社会でどう形にするか設計する


